スタンレー電気製LED
光源の優位性

         
スタンレー電気製LED光源の優位性

社会課題を解決する
手段として
注目される
「深紫外LED」

細菌やウイルスに対して高い除菌効果を持つ深紫外線は、新型コロナウイルス感染拡大により、世界的にその活用が注目されている技術です。除菌に対するニーズが拡大し、不特定多数の人々が集まるオフィス、公共施設、教育現場、さらには医療現場において、共用品の表面や大勢が利用する空間を清潔にすることが不可欠であるという認識が広がりました。
スタンレー電気は、この社会課題に対する解決策として、以前より取り組んでいた波長265nm深紫外LEDとその応用製品の開発を加速しています。長年培ってきたLEDの素子開発、製造プロセスにおける技術、材料に対しての知見を駆使し、「高品質」「高出力」「高効率」を兼ね備えた深紫外LEDを実現。これらを達成するための根幹となる3つの要素技術についてご紹介します。

深紫外LEDの構造

深紫外LEDは、LED素子・保護ダイオード・パッケージ基板・レンズから成り立っています。

深紫外LED外観
深紫外LED外観

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「高品質」「高出力」「高効率」を
実現する3つの技術

スタンレー電気は「LED素子」「パッケージ構造」に対して工夫を重ねることで、他社には実現できない独自の深紫外LEDを開発しました。

LED素子

【図2】に示す通り、LED素子は最上部にあるAℓN基板に各層を積層させて作られています。スタンレー電気は、この積層の土台となるAℓN基板に2つの特徴的な技術を用いています。

図1 深紫外LEDの断面図
図1 深紫外LEDの断面図

【図2】LED素子は、光を取り出す側から●AℓN基板●n-AℓGaN(窒化アルミニウムガリウム)層●AℓGaN活性層●p- AℓGaN層が蓄積された構造になっています。
さらにn-AℓGaN層にはn型電極、p-AℓGaN層にはコンタクト層と呼ばれるp-GaN(窒化ガリウム)層を介してP型電極が設けられています。

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技術①

結晶欠陥の少ない基板材質を利用

LED素子を作る上で、LED素子構造の下地となる基板は、層を積み重ねていく土台となる部分です。基板とn-AℓGaN(窒化アルミニウムガリウム)層の格子定数(結晶の粒の間隔)の差が大きいと結晶欠陥が増えてしまうため、n-AℓGaN層と近い材質の基板を使うことで結晶品質を高くしています。
多くの深紫外LEDの基板には、青色LEDに用いられているサファイア材質が使われていますが、結晶の粒の間隔(格子定数)が大きいため、基板の積層に亀裂が入りやすく、特に265nmのように短い波長の積層はより難しいとされています。亀裂が入ると大電流を流しても光を効率良く発することができません。また、小電流を流しただけで基板の温度が上がり、効率が落ちてしまいます。

図表
図表

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そこでスタンレー電気は殺菌効率の高い265nm波長を実現するために、アルミニウム(Aℓ)と窒素(N)からなるAℓN基板を保有するヘキサテック社を買収し、高度な技術力が要求されるAℓN基板の製造を有しました。結晶の粒の間隔が小さく、きれいな積層構造を作ることができる【図3参照】ため、亀裂が入りにくく(結晶の欠陥が少なく)なっています。

図3 積層構造比較

ALN基盤
ALN基盤

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これによって、高出力かつ小電流で光を発生させることが可能になりました。サファイア基板は、400mAを超えたあたりから光出力に伸びがありませんが、AℓN基板のスタンレー製LEDは大電流を流しても高い出力を維持できています【図4参照】。

図4 基板材質別光出力比較

図4 基盤材質別光出力比較
図4 基盤材質別光出力比較

当社AlN基板は、サファイア基板に比べ外部取り出し効率が高く、電流量増加に伴う効率低下が小さいことがわかる。

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また、結晶欠陥が少ないAℓN基板を採用することで、高い温度環境においても高出力を実現。サファイア基板を使ったLEDは大幅に効率が落ちますが、スタンレー製は高い効率を維持でき、優れた温度特性となっています【図5参照】。

図5 基盤材質別温度特性比較

図5 基盤材質別温度特性比較
図5 基盤材質別温度特性比較

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技術②

厚みがあるにも関わらず透過率の高い
積層基板を実現する生成方法

2つ目の技術は、素子から発光される光をより効率よく取り出す(光取り出し効率)ための技術です。AℓN基板は、LED素子の窓のような役割を果たし、透過性が高いほどたくさんの明るい光を取り出すことが可能です。また基板に厚みがあることで、製造プロセスにおいて取り扱いの難易度を下げることに繋がります。つまり、基板には「高い透明性+厚み」が重要になります。しかし一般的な"昇華法"では、結晶の中に不純物が入ることで透明性が落ちてしまい、また、厚みを持たせようとすると今度は透明性が下がってしまいます。

そこでスタンレー電気では、厚みを持たせたまま透明性の高い基板を作るために"HVPE(ハイドライト気相成長)法"という技術を採用しました。従来の昇華法によるAℓN基板に比べて、波長300nm以下(除菌効果が高い265nm付近)の透過率が格段に高く、光を効率よく取り出すことができます【図6参照】。
このように、素子から強く発した光を、より効率よく取り出すことで「高効率」を実現しています。

図6 HVPE法で作製したAℓN積層基板の透過率特性

図6 HVPE法で作製したAℓN積層基板の透過率特性
図6 HVPE法で作製したAℓN積層基板の透過率特性

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パッケージ構造

「高品質」「高出力」「高効率」を実現するための3つ目の技術が、「パッケージ構造」に用いられています。

技術③

ドーム型レンズの使用・
信頼性の高い気密封止パッケージ

LEDパッケージには、素子から発光される光をできるだけロスせずに外に出すことが求められます。一般的にLEDはフラット形状のガラスレンズに基板を接着させる方式を採用していますが、光のロスが大きく、パッケージ自体が素子の光を減衰させる要因となってしまいます。その課題を解決するために、スタンレー製265nm深紫外LEDにはドーム型のガラスを採用。フラットガラスに対して光のロスが少ないことがわかります。また、深紫外LEDは外部環境の影響を受けやすく、特に湿気がパッケージ内に入り込むと不点灯のリスクが生じるため湿度に対しては注意を払う必要があります。スタンレー製の深紫外LEDは、一般的な樹脂接着ではなく、レンズとパッケージを金属で接合して封止をし、パッケージ内部と外部を遮断することで湿気の侵入を防止【図7参照】。製品に対しての耐湿動作保証も行っています。

図7 光の取り出し効率説明図

図7 光の取り出し効率説明図
図7 光の取り出し効率説明図

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まとめ

上記で説明したように、スタンレー電気は3つの技術を組み合わせることで業界トップクラスの「高品質」「高出力」「高効率」を可能にする深紫外LEDを実現しています。深紫外LEDはこれまでのスタンダードであった水銀ランプに変わる紫外線光源として期待されていますが、まだ高出力化の課題が残っています。今後は、これまでに培った豊富な経験と技術を生かしてさらなる高出力化へチャレンジするとともに、お客様のアプリケーションの小型化・自由度の向上へ貢献することで幅広い活用を目指していきます。

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