由良拓也氏プロフィール ラフスケッチを囲んで

由良氏との打ち合わせ 「第42回東京モーターショー2011」への出展に向け、革新的なランプビューの演出をメインテーマとし、スタンレー電気さんとともに近未来のクルマの創造に挑みました。
自由に頭に描いたものを具現化していただける機会は少なく、童心に返り夢中になってラフデッサンを描き上げました。
車体には先進的なエアロダイナミックスデザインを盛り込みつつも、その表情は機械的というよりはむしろ有機的、闇夜に溶け込み獲物を狙う鋭い目を持つ猛禽類の様相をヘッドランプで表現しました。目前を走り去っていく余韻をリヤコンビネーションランプで魅せ、また、インテリアには、感性に訴えかける光の演出を意識し、直感的操作を追求したセンターボードと、クルマとの一体感をもたらすダブルコックピットを配することにより、走る喜びをダイレクトに感じることができる空間を演出しました。



モックアップの製作が進むにつれ、頭に描いていたものが次々とカタチになっていきました。私自身、どのように具現化されるのかと思っていた部分は、想像を超えるものをご提示いただきました。
スタンレー電気さんの技術力の高さには驚かされながらも、次世代のクルマをつくっているという手応えを感じていました。

スタンレー電気さんと二人三脚で完成させたモックアップは、当初の想像をはるかに超えたものに。長いデザイナー人生の中でも、特に思い入れの強い作品となり、今後の展開が楽しみです。

今回のプロジェクトは、光の持つ可能性を深く実感することができ、デザイナーとしての幅が大きく広がった経験となりました。こうした機会に巡り逢えた幸せに感謝しています。

スタンレー電気だからできる光の演出

由良さんのスケッチを初めて見た時、先進的なビジュアルに加え、空力学的に計算された機能性を兼ね備えているデザインだという印象を受けました。ワクワクした反面、これを実現させるには容易な道のりではないと直感しました。
獲物を狙う猛禽類の鋭い眼光を模したヘッドランプ。今までにない光を再現するため、まずは由良さんのイメージを正確に把握する必要があります。デザインチームとともに、カエルやヘビ、カラスなど、さまざまな生物の眼を比較しては検討を繰り返し、最も鋭さのあったタカとヒトの眼を参考に製作を進めました。
一方、リアランプは、走り去る余韻を光でどのように表現するか、ここをキーポイントとしました。アウターレンズをなくした斬新な構成はもとより、どの角度からみても唯一の光り方となるよう、あらゆる方法を検討。光の屈折や映りこみ、レンズ表面の処理まで徹底的にこだわりぬいた結果、シンプルでありながらクリスタルな質感の奥深い光り方が実現できました。このランプが目の前を通り過ぎると、皆が振り返ることが想像できます。
今回、私たちがこだわったのは光で魅せること、LEDを当たり前のように使うこと、そして、点灯時と非点灯時の印象の違いや、輝度のメリハリなど、スタンレーにしかできない光の演出です。どのように光らせるかだけを模索し続けた結果、これまでにない光の演出を実現することに成功し、新たな光の可能性に出会うことができました。
この経験は、技術者として、大きな飛躍となったと実感しましたし、何より由良さんと一緒にものづくりに取り組めたことがうれしかったです。

青木専任課長と由良氏

LEDヘッドランプ
リアコンビネーションランプ

感性に訴える近未来の空間づくり

由良さんのデザインは、これまで永きにわたり操作パネルの設計に携わってきた私の固定観念を一変させました。操作パネルといえば、普通、平面形状の操作部にデバイスが埋め込まれている形状を想像します。ところが、由良さんが考えた操作パネルは、3段ステップ構造で、手を置くイメージで操作する形状の斬新なものでした。
当初は、設計として成り立つのだろうかと不安を覚えましたが、今までにない価値のある製品をつくるためには、挑戦は欠かせないと考え、必ず成立させようという意気込みで製作に取り組みました。センターパネルの分野において用いられてこなかった新機能、技術要素を積極的に採用し、新たな付加価値を有するパネル開発への方針や設計手法をチーム内で何度も議論。少しずつ実現に近づいていきました。
苦心の末につくりあげたモックアップ。由良さんの満足そうな笑顔は、今でも心に残っています。 次々と新たなアイデアを提示してくださる由良さんとともにものづくりに取り組めた経験は、技術者として貴重な財産となりました。

若林チームリーダーと由良氏

センターパネル

フォトギャラリー

過去にない発想を生み出すデザイナー、確かな技を持つ設計者。
両者の共創が、次世代のクルマづくりの新たなトビラを開きました。