Pioneer川越事業所さんに伺いました

今回は埼玉県川越市にあるパイオニア(株)川越事業所を訪問しました。パイオニアは音響メーカーとして有名ですが、今では自動車用のオーディオやナビゲーションが中心の会社になっています。

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自動車ビジネスには、私たちがショップやネットで購入できるアフターマーケット製品と、自動車メーカーに純正品として納入されるOEM(相手先ブランド供給)製品があります。このうちOEM製品にはスタンレー製の電子デバイスがたくさん使われているので、OEM製品を開発されている皆さんにインタビューするべく、埼玉県川越市へ行ってきました。

Pioneer02Q:はじめまして。スタンレー電気のレース活動でレイブリックレースクィーンを昨年度務めました大山美保と申します。今日はよろしくお願いいたします。先ず皆様の自己紹介と、これまでに携わってきた製品やお仕事について教えて下さい。

東様:トヨタ自動車様向けカーオーディオ・カーナビゲーション製品の開発を担当しています。自動車の開発は、いろいろな部品サプライヤーが、自動車メーカーの中に駐在して行われています。以前トヨタ自動車様に3年ほど駐在して、トヨタ自動車様と一緒になって仕事をしてきました。またそれ以前にはプロ用DJ機器の開発にも携わっていました。

Pioneer03太田様:トヨタ自動車様のレクサス向けカーオーディオ・カーナビゲーションの開発を18年間やっています。
松原様:入社以来30年間カーオーディオの開発をしています。今は共通設計部で、お客様の声を実現すべく、グローバルな自動車メーカーへ提案するための架け橋になるような技術開発をしています。

miho_icon01Q:皆さんはこれまで長い期間にわたり、開発に携わっていますが、時代の流れとともに変わってきていることはありますか。

太田様:車の品位に関する要求が、より高いレベルになってきましたね。ひとつひとつの部品に対する「こだわり」が強くなっています。たとえば、カーオーディオに付いているノブ、スイッチなどの触感には、数値だけでなくより感覚的なものを求められます。もっと「ウエット感」がほしいとか。これらの要求に対し、人間工学技術に加えて、より感性を重視した開発をしています。同時に長期間に渡ってこわれない耐久性も求められます。

Pioneer04Q:レクサスLXとトヨタカムリに搭載される実際のオーディオ製品を見せていただいておりますが、これらの開発はいつごろからどのようなコンセプトでスタートしているのでしょうか。

太田様 :レクサスの場合、車両が発売される数年前からスタートしています。今回ご紹介しているレクサスLX向けオーディオのコンセプトは「ブラックアウト」です。これは車を始動させると、真っ黒なパネルから、イルミネーションが点灯し文字が浮かんでくる、というコンセプトです。このコンセプト実現にスタンレーさんのLEDが非常に役立っています。
仕事の進め方としては、自動車メーカーの「お客様にこういう車を届けたい」といったコンセプトをもとに部品サプライヤーとしてその実現方法をご提案するという流れとなります。自動車メーカーや実際に車を購入されるユーザーにいかに喜んでもらえる提案ができるかがパイオニアに求められています。

Pioneer05Q:お見せ頂いている製品はOEM供給製品ですが、製品のデザインや機能など、車メーカーさんとどのようなやり取りがありますか

太田様:何度も何度も提案や試作を繰り返し、自動車メーカーと一緒に「仕様」を決めて製品が完成していきます。今回のLXではかなりの金額をかけて原理試作をおこないました。自動車メーカーと部品サプライヤーが一緒になって車を作っていくのです。東も担当していたように、パイオニアのエンジニアがトヨタ自動車様の中に入り、一緒に仕事をしています。

Pioneer06Q:パイオニアのナビやオーディオは、アフターマーケットでのカロッツェリアブランドが有名ですが、OEM受注に当たり、御社の強みはどのあたりとお考えですか。

東様:カロッツェリアオーディオやナビゲーションで培った高い技術力はもちろんOEMビジネスでも共有されています。とくにオーディオメーカーとして「音質」にはこだわっており、自動車メーカーからも高く評価されています。

Pioneer07太田様:音質にプラスして、人が触るスイッチの感覚や、照明部分の綺麗さや精細さにもこだわっており、こちらも評価されています。また実際に製品を作るモノづくりの部分も評価されているポイントですね。
松原様:自動車メーカーからの要求に対し、何事にも実直に仕事を推進してゆく企業風土も評価してもらっていると思います。そのため、時には我々の部品サプライヤーにも厳しい要求を出します。その点でスタンレーさんはしっかり付いてきてくれるので助かっています。

miho_icon04Q:レクサスLX向けオーディオのLEDやトヨタカムリ向けオーディオのLCDのご採用に当たり、スタンレーの強みと考えていただいている部分を教えてください。

Pioneer08太田様:LEDでは顧客要求にこたえるための、豊富なバリエーションの製品ラインナップがあげられます。また仕様合わせなど柔軟に対応ししっかりついてきてくれます。
東様:LCDにおいてもそれは同じで、こちらからの厳しい要求にも柔軟に対応して頂けるところは非常に助かっています。

Pioneer09松原様:LCDは白と黒のコントラストをいかに高くするかが技術的に一番必要です。スタンレーさんは垂直配光LCDで高コントラストLCDをいち早く提案してきてくれました。
またLEDは、車のインテリアでの統一感を出すために、微妙な調色が必要ですが、色のカスタマイズに対応して頂き助かっています。ちなみに、このレクサスLXは同じ白でも9種類もの違う白色のLEDを使っています。

miho_icon05Q:それはすごいですね。ただ単に白いLEDをお願いします、だけではないのですね。どうやって色は合わせるのですか。

VMW1158LCS-10-G-TR VMW1154LDS-TR太田様:実際に光らせてみないと分からない事も多く、試作サンプルを作りながら決めていきます。透過する材料が違うので、材料の構成や素材によってLEDの種類が変わってくるのです。時には試作品をそのままスタンレーさんに預けて、色目を合わせてもらったりすることもあります。

miho_icon03Q:開発に当たり苦労した点やチャレンジした新しい技術があれば教えて下さい。

Pioneer11太田様:レクサスのこのモデルに関しては、漆黒の表面から文字だけを明るく光らせることに苦労しました。文字を明るくしようとすると、パワーオフの時に文字が透けて見えてしまう。逆にパネルを漆黒にし過ぎると、今度は文字が暗くなってしまう。視認性とデザイン性のちょうどいいところを模索し、同じ漆黒でも何種類も作って実験しました。

miho_icon01Q:なるほど、真逆な事を両立するために苦労されたのですね。

東様:トヨタカムリは、トヨタブランドの中では高級モデルです。ただしレクサスほどコストに余裕はない。しかし、いろいろ工夫して、ボタンやノブの触感や文字の品位などを、レクサスレベルに近づけるようこだわりました。スタンレー製LCDはこのクオリティー向上に大きく役立っています。

Pioneer12Q:本当はこれやりたかったけど、いろいろな事情でできなかったことはありますか。

東様:スマートフォンライクな見栄えは、当面の目標です。全世界のユーザーは日常スマートフォンを使っており、スマートフォンのような使い勝手や見た目を求めています。たとえば今は透明プレートの向こう側にLCDがあるのが分かってしまう。これをスマートフォンのように、どこにディスプレイがあるのか分からないようにしたい。現時点では、コストや技術的な理由で達成出来ていないですね。課題については、スタンレーさんと話をし始めており、今後のご提案に期待しています。

Q:スタンレーに求められるモノが多いのですね。

miho_icon02Q:今後、自動運転を軸に、車のあり方が大きく変わってゆくと思います。御社の新しい挑戦、当社への期待などお聞かせください。

松原様:今まではエンタテインメントが主軸でしたが、今後は、自動運転時代に向けガラス面に情報を投影するヘッドアップディスプレイや走行する車の周囲をセンシングする3D LiDARを開発しています。これらは新しい技術ですので、スタンレーさんがお持ちのデバイスで、ぜひ協力して頂きたいと思います。

miho_icon06Q:御社には「街でも家でも車でも 笑顔と夢中が響きあう」というビジョンがありますが、これが反映されたエピソードなどありますか。

東様:OEMの製品はパイオニアのブランドが表示されないので、ユーザーからはパイオニアが作っている製品と認知されません。しかし縁の下の力持ちとして、世界中のお客様に感動を与えていきたいと思います。
一方でアフターマーケット市場では「カロッツェリア」の認知度が高く、多くのお客様から愛されています。実は行きつけの床屋さんが20年来のカロッツェリアファン。いつもパイオニア製品の話をしてくれますが、その時の笑顔に喜びを感じますね。

太田様:OEMビジネスではパイオニアの名前は世に出ませんが、設計者として自分たちが設計したものが車に搭載され、世界中の道を走っているのが何より嬉しいし誇りですね。自分が担当した車の評価などはネットでチェックしてしまいます。オーディオやナビゲーションの評価が高かったりすると、嬉しいものです。

松原様:パイオニアの社名の通り、開拓者精神を発揮して、これまでも多数世界初の製品を出してきました。お客様が笑顔で喜んでくれるものは何かを常に考えよう!と、パイオニアのビジョンはうたっています。これからも、ビジョンを胸に開拓者精神を発揮して開発を続けていきたいと思います。

Pioneer13左から、大山美保、太田様、松原様、東様

Q:皆様、ありがとうございました。スタンレー電気の電子デバイスが、パイオニアさんのビジョン実現にお役立ち出来るよう、今後とも新しい技術の提案を続けていきます。

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